自然と野生生物
グリーンランドの夜空に広がるオーロラ。
グリーンランドでは、色と形を変えながら夜空を照らす光の様を頻繁に観ることができます。
この現象はオーロラと呼ばれています。高度の大気中で荷電粒子と原子が衝突して生じ、衝突によりって空には大気の組成を映し出す力強い色が表れます。グリーンランドは夜空に踊るこの光のショーを体験できる、世界でも数少ない場所の一つです。
イヌイットの神話によれば、オーロラは生者と死者をつなぐメッセンジャーであり、畏敬の念をもって接すべきものです。オーロラに向かって口笛を吹くと死者にコンタクトをとることができ、オーロラがパチパチと音をたててつながりを知らせてくれると言われています。また死者がセイウチの頭蓋骨でサッカーをしているのだ、という伝説もあります。
北極の自然を体験するには犬ぞりが一番です。犬ぞりはスピード、チームワーク、そして雄大な景色を楽しめる冒険です。
犬ぞりは北極圏以北の西側沿岸およびグリーンランドの東側沿岸で体験することができます。
ディスコ島では、ケケッタッスァックの町から800m上方の氷河で犬ぞりを走らせることができます。毎年イースターの頃(通常3月か4月)、北グリーンランドで犬ぞりレースが開催されます。
グリーンランドの氷上の北極熊。 写真: Staffan Widstrand
グリーンランドは雄大な景観だけでなく、さまざまな野生動物が生息していることでも知られています。
周辺海域では約225種の魚や甲殻類や貝が確認されています。
海のほ乳類として重要なのは、ワモンアザラシ、アゴヒゲアザラシ、タテゴトアザラシ、ズキンアザラシ、ゼニガタアザラシ、そしてセイウチです。また数種類のクジラも生息しています。北大西洋のクジラはいずれの種も、ある時期に繁殖や食料確保のためにグリーンランドの海へとやってきます。
グリーンランドは地理的に孤立しているため、野生の陸上ほ乳類が侵入してくることはありませんでした。実際、グリーンランドに生息する野生の陸上ほ乳類は、北極グマ、北極ウサギ、北極ギツネ、トナカイ、ジャコウウシ、レミング、オオカミの7種類だけです。
また小型の陸上ほ乳類も非常に少なく、両生類やは虫類をはじめとする動物群の多くはまったく存在しません。
昆虫も種類によっては稀少です。たとえばアリやバッタ、トンボやカリバチはいません。
グリーンランドの海に泳ぐザトウクジラ。 写真: Julie Skotte